会計年度末の英語
日本の財務諸表では第○○期損益計算書とか第○○期末貸借対照表など表現することが多いですが、さて英文ではどういうべきでしょうか。
まず、○○期というのは、日本では創立以来の事業年度を第1回、第2回、と数えて例えば2012年度3月31日に終了する事業年度が15年目の事業年度にあたっていれば第15期損益計算書、第15期貸借対照表などと表現したり、また平成21年度損益計算書、と表現することが多いようです。
英文の財務諸表(financial statements)では第○○期事業年度というより、具体的に平成22年3月31日を期末日とする事業年度というふうに表現するのが最も多いように思います。
そこで、例えば平成22年3月31日を期末日とする事業年度又は会計年度を、英文ではなんと表現すべきでしょうか。
事業年度(会計年度)はfiscal year とかbusiness year とか表現します。会計年度はまたfinancial yearということもあります。平成22年3月31日で終了する、というのはどうでしょうか。ending March 31, 2012でしょうか、ended March 31, 2012でしょうか、というのが本日の話題です。逆に言うと、日本語を英語にする場合は3月31日で終了する平成22年度をどう翻訳すべきでしょうか。
これは中学校、高校で学んだ現在分詞と過去分詞の問題になりますが、結論から言うと、 どちらも正解です。但し、文法的に正確に使用されている限り、少し意味が違います。
ending March 31, 2012はこれから終了する事業年度を指す場合に用い、ended March 31, 2012はすでに終了した、あるいは過去の事業年度を指す場合に用います。
中学校、高校の文法を思い出してみましょう。現在分詞、過去分詞の大原則は、現在分詞は能動態の形容詞、過去分詞は受動態の形容詞を意味します。例えば、interesting news(おもしろいニュース)は現在分詞、used car(中古車)は過去分詞です。
ただし、この原則、すなわち能動態の形容詞は現在分詞、受動態の形容詞は過去分詞であるという原則があてはまるのは、他動詞に限るという条件付きでした。自動詞には受動態というのがそもそもありえないのですから、この原則が適用されないのはあたりまえといえばあたりまえです。
さて自動詞の場合は、現在分詞は未来か現在、過去分詞は完了又は過去の形容詞ということになります。文章のなかで過去分詞は受身形、あるいは完了形で使用されるのに対応しています。
例えば落ちるという意味のfallは自動詞であり、「落ちられた」という受身形は存在しませんから、形容詞としてfallの過去分詞が使われた場合は、「落ちてしまった」という過去又は完了の意味を表します。堕ちた天使は、fallen angel、落ち葉はfallen leavesとなります。falling leavesだと落ちつつある葉っぱを指していいます。
同様にendは終了するという自動詞なので、平成21年事業年度の場合、すでに決算日が終了していればfiscal year ended March 31, 2010で、本年度又は将来の事業年度の場合、例えば平成24年事業年度は fiscal year ending March 31, 2013となります。
平成21年度事業年度(すでに過去の場合)= fiscal year ended March 31, 2009
平成21年度事業年度(まだ完了していない未来の場合)= fiscal year ending March 31, 2009
業績のフォーキャスト(予測)の場合は基本的にfiscal year endingの形になるでしょう。
上記のendedとendingの相違が実際の使用の場において厳格に上述の意味合いで区別されて使われているかどうかは定かではありませんが、endedとendingがともに使用されている根拠は以上説明のとおりかと思います。
永江俊一