事業報告書(Business Report)の翻訳・和訳(translation)
会社は私的なものですけれども、株式会社として株式が株式市場に公開されるほどの大きな規模になってくると、債権者、株主、多くの従業員など利害関係者が大いに増え、また特に一般投資家の利益を保護するために法律なども絡んできて、公的な側面も増えてきて、いろいろな報告書を作成する義務がでてきます。例えば、証券取引法などの要請から、有価証券報告書や決算短信など、会社の経営情報の一般の開示が求められます。
決算をした事業年度についての会社の事業報告をするものとして、事業報告書というものがあります。一般的に有価証券報告書ほど詳細にわたる分量の報告書ではありません。会社を取り巻く経営環境を含め過去1年の会社の事業の報告(Business report)、決算書類又は財務諸表(Financial statements)(貸借対照表(Balance sheets)、損益計算書(Statements of income)、株主資本等変動計算書(Statements of changes to shareholders’ equity)、又は純資産変動計算書(Statements of changes in net assets)、注記表(List of explanatory notes))、監査報告書(Audit report; Independent auditor’s report and Company auditor’s report)などを含みます。投資家を含む株主に対して報告をするなどの目的で作成することが典型的なのではないかと思います。
決算書類の会計用語の翻訳については、誤訳をしないように特に注意が必要です。資本の部には商法及び会社法のからみから外部利害関係者を保護するためにも資本金の他さまざまな剰余金、準備金、積立金があります。
資本金=Capital Stock
資本剰余金=Capital surplus
資本準備金=Capital reserve
利益剰余金=Earned surplus
利益準備金=Earned reserve
その他利益剰余金=Other earned surplus
任意積立金=Voluntary reserves
別途積立金=General reserve
繰越利益剰余金=Retained earnings brought forward
その他があり、またその積立金が法定である面から呼称する
法定準備金=Legal reserve という表現もあります。
また、株主資本の中には市場から購入した自社の株式がある場合はこれも含み、
自己株式(又は自社株式)=Treasury shares 又はアメリカ式に株式をstockで表現すると =Treasury stocks
などがあります。
ご覧のとおり、少しややこしい。大学の会計学などで先生が詳しく教えてくれたものですが、社会にでたことのないその当時の学生にとってはそんなことどーでもいいじゃん、という感じでしたね。ところが、文系の翻訳者にはかなり必要な知識です。
筆責者=永江俊一
事業報告書の翻訳